時たま、旅人

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自称世界遺産ハンターが行く!旅好き会社員の備忘録

古都ジョグジャカルタのクラトンとタマンサリ

 

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真夏の日本から真夏のインドネシアにやって来ました。首都ジャカルタから1時間ほどのフライトで降り立ったのはアジスチプト国際空港。f:id:greenbirdchuro:20190623093339j:plain

どこ?と言う声が聞こえてきそうですが、ジャワ島中心部の南岸に位置する古都ジョグジャカルタの玄関口です。インドネシアの京都的ポジションですね。

 

マリオボロ通り近くのホテルの窓から活気溢れるジョグジャカルタ市内をパシャリ。遠くにムラピ山が見えています。活火山のムラピ山が噴火すると山から一斉にムササビが滑降してくるので、ムササビ山とも呼ばれているとか。想像したらカワイイ・・・いや、ここは怖がるとこかな。f:id:greenbirdchuro:20190622092938j:image

 

街を南北に貫くメインストリートのマリオボロ通りを歩いてみました。特別な行事があると王宮へ続くこの道が花で飾られたためマリオボロ(花飾り)と名付けられたそうです。ジョグジャカルタ最大の繁華街らしく、ホテルやショッピングモール、屋台、土産物屋が所狭しと並んでいます。特に多いのはインドネシアの民芸品バティックを扱った専門店。南国らしい色・柄の衣服や小物、インテリア用品はウインドウショッピングだけでも楽しめます。f:id:greenbirdchuro:20190622092947j:image

 

マリオボロ通りを20分ほど歩くと王宮「クラトン」がありました。インドネシアの伝統とヨーロッパ文化が融合したジャワ建築の最高傑作とされるクラトンは1790年に完成しました。以後、ジョグジャカルタを統治する歴代スルタンの住居となっています。一部が博物館として公開されていて、伝統的な調度品や楽器、衣装などの展示を見ることができます。f:id:greenbirdchuro:20190617193058j:plain入り口の両側には両手に棍棒を握ったクペラの像が建っています。ドワラパラとも言われるヒンドゥー教と仏教とジャワ文化のどれとも関連する守護神で、この2体の像(チンカラバラとバラウパタと )は人間の正しい心を表しているとか。怖い顔に親しみを感じるのはそのせいかもしれません。

 

かつて門番が待機していた場所には置物の人形がありました。まさに王宮の守り人といった感じです。後ろには本物の門番が控えていましたけど。f:id:greenbirdchuro:20190617193542j:plain



守護神クペラが護る先にあるのは現在のスルタン 兼 州知事のハメンクブウォノ10世の住まいです。当然ながらここは立ち入り禁止。スルタンが知事を兼任するなんて天皇陛下が総理大臣を兼務するみたいで違和感ありありですが、前スルタンのハメンクブウォノ9世がインドネシア独立に協力的だったおかげで、他の州のスルタンが名誉職化してしまったにも関わらず、ここだけが特別待遇なんだとか。世襲制の知事ってどうなの?と思いますが、日本の政治家も世襲制みたいなもんですからあり得なくもないですね。f:id:greenbirdchuro:20190622125943j:image

 

過去のスルタン達が使った神輿なども展示されていました。同じ東南アジアでもタイやカンボジアの王宮みたいに金ピカではなくて、随分と質素に感じます。f:id:greenbirdchuro:20190617193209j:plain神輿のモチーフに東南アジアらしさを感じますが、鱗があるので蛇か龍だと思われます。多分、蛇神のナーガラージャ?f:id:greenbirdchuro:20190617193213j:plain

 

屋根と柱だけで構成された東屋のように見える儀式殿は、王族や軍の公式の集会が開かれる場所でした。f:id:greenbirdchuro:20190617200635j:plain

雨風の強い東南アジアなのに建物がオープンエアなことに驚かされますが、見事な彫刻が施された柱も含めてかなり綺麗に管理されていました。現在は、民族舞踊やガムランなどの伝統芸能が上演される舞台として使われています。f:id:greenbirdchuro:20190617193122j:plain

 

ガムランはインドネシアの伝統的な民族音楽で、様々な大きさの銅鑼や鍵盤打楽器による合奏です。楽器の写真をWikipediaから拝借しておきます。ちなみに王宮では屋根だけしかない建屋に置かれているので、毎日使うものとは言え、楽器の扱いとしてどうなんだろう・・・と心配になりました。f:id:greenbirdchuro:20190622132908j:image

 

クラトンの中では門番の人形と同じ揃いの民族衣装を身につけた人々をたくさん見かけます。てっきり王宮の職員さん達だろうと思っていたら、無給のボランティアなんだそうです。誰でもなれるわけではなく、かつてのスルタンの家臣の子孫。彼らにも生活があるだろうにその数は約2000人!親子でお務めしている人もいて、このボランティアを許されるのはその家系にとって名誉なことがわかります。なんだか忠臣蔵の頃の日本の武士を見ているような感覚を覚えました。f:id:greenbirdchuro:20190617193134j:plainf:id:greenbirdchuro:20190617193139j:plainでも、何してるのかはイマイチよくわかりません。ここに詰めていることが大事なのかも・・・。

 

ちょうど人形劇をやっていましたが、言葉が理解できないのでここは雰囲気だけ。f:id:greenbirdchuro:20190617193323j:plain

 

最も鮮やかだったのは金の王座のパビリオンでした。あらゆる宗教と文化が融合したジャワ建築の最高傑作の一つと言われるのも納得です。柱にはコーランを引用した緑色と金色のアラビア文字が刻まれています。屋根の赤い装飾はヒンドゥー教スタイル。天井に描かれた蓮の花は仏教。しかも真ん中のシャンデリアは洋風ときています。ジャワ建築の特徴は多様性と言われますが、全てが違和感なく融合していて一つ一つの繊細な出来栄えにうっとりします。f:id:greenbirdchuro:20190617193222j:plain

 

王宮はジョグジャカルタの生きた歴史と文化が体験できる貴重な場所ですが、何よりも時代を超えてスルタンが尊敬されている様子が印象的でした。

・・・と締めたいと思っていたのですが、わたしが訪れた後にお家騒動が勃発していました。嫡男がいない現スルタンが長女を後継者指名したからです。日本でも女性天皇の擁立を!的な流れがあるので他山の石とは思えませんが、イスラム教国のインドネシアではずっとややこしそうです。ジョグジャカルタでは女性君主が存在した歴史はありません。ましてや選民意識の強い古都ですから、数百年にわたるイスラム教の伝統や国家独立後も維持されてきた保守的なスルタン制が揺らぐ!との異論が噴出しているそうです。しかも、地元のイスラム系組織などが絡んでくるからタチが悪い。でも、女性のスルタンが実現しない場合は、現スルタンがラストエンペラーになってしまうわけです。日本人としてとても興味のある問題ですね。


水の宮殿として知られるタマンサリは王宮から1kmほど離れた場所にありました。周囲は住宅地ですが、一目でここがやんごとなき場所だとわかります。なぜなら、魔除けの神カーラがお出迎えしてくれているからです。ギョロッとした大きな目と大きく開いた口のカーラがあっかんべーしている顔は一度見たら忘れられません。f:id:greenbirdchuro:20190617190338j:plain

 

第一の門は左右にある階段から上に登れるようになっていたのでおそらく見張り台を兼ねたものだと思います。手すりには蛇神ナーガラージャの姿がありました。f:id:greenbirdchuro:20190617190721j:plain

 

門から離宮までは長い石畳みになっていました。f:id:greenbirdchuro:20190617192743j:plain

 

またまたカーラです。カーラはもともとヒンドゥーの死神で死者の王ヤマの別名だそうです。仏教では閻魔大王のポジションですね。大きく開かれた口は食いしん坊の証。悪いものまで食べてくれるから魔除けの神様なんです。段々とかわいく思えてくるから不思議ですね。f:id:greenbirdchuro:20190617190341j:plain

 

ハメンクブウォノ1世がこの離宮を建てたのは1758年。レストハウスとして多目的に使われる一方で医療設備や要塞を備えたシェルターの役割もあったと言われています。そして、門をくぐるとタマンサリ(花園)と呼ばれる所以の大きな沐浴場がありました。f:id:greenbirdchuro:20190617190501j:plain

 

二つ並んだ長方形のプールはかつてスルタンに仕える女官たちが水浴びを楽しんだ場所です。スルタンはプールの南側にある3階建ての建物の小窓からその様子を眺めて、その日の夜のお相手を選んだそうです。f:id:greenbirdchuro:20190623093440j:plain


残念ながら今はきれいとは言い難い状態ですが、周りを囲む樹木や花にかつての花園の面影を見るようです。f:id:greenbirdchuro:20190617190505j:plainプールの周囲は建物と壁でガッチリガードされていて、外からは覗かけない造りになっています。まさかこの花園でスルタンがめくるめく時間を過ごしていたなんて当時の庶民には窺い知れなかったことでしょう。

 

水の放出口の凝った造りもナーガラージャでしょうか。f:id:greenbirdchuro:20190617190708j:plain

 

反対側の門のカーラはいかつくない愛嬌のある表情がチンパンジーそっくりでした。f:id:greenbirdchuro:20190617190712j:plain

 

出口の門は化粧漆喰になっていて、くっきりとした細かい花鳥の装飾が見事でした。f:id:greenbirdchuro:20190617190725j:plain

 

探すのに難渋しましたが、タマンサリの近くの入り組んだ路地から地下水路に入ることが出来ました。この2階建ての地下道でスルタンは瞑想にふけったそうですが、王宮と繋がっているあたり、主に軍事目的の脱出経路だったんじゃないかと思います。f:id:greenbirdchuro:20190622144605j:image

 

まだまだジョグジャカルタ観光は続きます。

 

NHKスペシャル アジア古都物語 ジョグジャカルタ―支えあう王と民 (NHKスペシャルアジア古都物語)

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倍速紀行・ジョグジャカルタ
 

 

 

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