時たま、旅人

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自称世界遺産ハンターが行く!旅好き会社員の備忘録

国立人類学博物館 後編

 

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メヒカ(アステカ)室はこの博物館のなかでも最大のスペースをとっていました。展示品の多くはメキシコシティの地下から発見されたものです。

かつてのメキシコシティでもあるアステカ帝国の首都ティノチティトランは湖に浮かぶ都市でした。伝説の地アストランで暮らしていたアステカ族は「サボテンの上で蛇を食べている鷲がいる地」という予言に導かれて13世紀にメキシコ盆地に到着しましたが、当時のメキシコ盆地には新参者の住む場所はありませんでした。先住国の攻撃を逃れるように移ったテスココ湖の小島で「サボテンの上で蛇を食べている鷲」を目撃し、小島に定着し、その地を都として国を建てました。その後、彼らは小島の灌漑を進めて農地を広げるとともに、徐々に力を蓄え、1428年には独立を果たしました。スペイン人が到来する16世紀にはメキシコ高原を支配する大帝国に成長していました。湖上に浮かぶティノチティトランの市街の賑わいはスペイン人が目を疑うほど壮麗だったそうです。f:id:greenbirdchuro:20190531132142j:plain

 

ティノチティトランの中心部の500m四方の聖域には様々な神殿・ツォンパトリ・球技場などが建ち並んでいました。これはその模型です。アステカ帝国を征服したスペイン人はこれらの神殿を破壊し、埋めたて、その上に新しく都市を築かきました。メキシコシティが地盤沈下するわけですよね。f:id:greenbirdchuro:20190531132014j:plain

 

石臼のように見えますが、側面に戦士のレリーフが刻まれている立派な円形台座は捕虜を置くためのものです。どう使ったのかはわかりませんが台座の溝は血を流すためなので穏やかではなさそうで・・・ぞっとしますね。f:id:greenbirdchuro:20190531132018j:plain

 

アステカ室に入るとすぐにジャガーの石像が目に入ってきます。正面から見ると日本の獅子舞みたいな表情で厳つさの中に愛嬌が見える気がします・・・が、このジャガーは生贄の心臓を入れるために使われたクアウシカリと呼ばれるものなのです。f:id:greenbirdchuro:20190531131805j:plain少し分かりにくいですが、ジャガーの背中に空いた丸い穴が生贄の心臓を入れる容器になっています。アステカの神々は生贄を要求する神々として有名ですが、人々も太陽が毎日昇るためには生贄の心臓が必要だと信じていました。毎日のことですからいくら遠目が壮麗な神殿でも近くに寄れば生贄の血で染まり酷い悪臭だったはずです。f:id:greenbirdchuro:20190531131809j:plain

 

ヘビの婦人を意味するアステカの大地母神コアトリクエの像がです。2匹のヘビが対面したような形で表わされた頭、ヘビの牙と舌が出ている口・・・チラ見しただけで強烈な個性が伺えます。この2匹のヘビは斬首された頭の代用として置かれたもので、ヘビの頭の形は首から両肩にかけて流れ出す血を表しながら腕を形作っています。切り取られた人間の手と心臓と頭蓋骨が太陽を養うために人の血と生贄が必要なことを表し、女神のペンダントとして身につけられています。さらにスカートは曲がりくねった無数のヘビ。女神という言葉のもつイメージを根本から揺るがすおぞましさ・・・。どこが大地母神なんだ?と思っていたら首から流れ出すヘビが豊穣祈願を表しているんだとか。f:id:greenbirdchuro:20190531131820j:plainそれにしてもアステカの神様はバリエーション豊かで個性的ですね。

 

見所はソカロ広場の大聖堂な修復工事中に発見された太陽の石です。直径3.6mの巨大な太陽の石はアステカ文明の暦を図形化したいわばアステカのカレンダーです。f:id:greenbirdchuro:20190531131828j:plain当時の色調を復元した解説もありました。中央の擬人化された太陽の周りの4つの絵文字は既に滅んだ4つ時代を表しています。アステカでは過去に4つの太陽の時代があり、第1はジャガー、第2は大風、第3は火の雨、第4は洪水によって滅んだと考えられていました。つまり、私たちが暮らす今の時代は第5の太陽の時代であり、いずれ大地震で滅ぶことになっているそうです。その外周の輪にはナワトル語の20の暦名。3番目の輪には装飾模様、4番目の輪が春分・夏至・秋分・冬至を表し、最外周には大きく口を開けた2匹のヘビになっています。f:id:greenbirdchuro:20190531131833j:plain驚くことに1年はちゃんと365日に区分されていて、それに沿ってアステカ人は農耕や宗教儀式を行っていたとされています。彼らの神秘的な宇宙観をシンボル化したものとしてこの太陽の石がプリントされたお土産が大人気でした。

 

アステカには優れた工芸品も多くて、その代表的が黒曜石の猿の壺です。猿が大きな壺を背負っているような形になっています。人の手だけで黒曜石の塊を丁寧に掘り出し、滑らかで美しく繊細に仕上げたと思うと自然にため息が漏れます。f:id:greenbirdchuro:20190531131843j:plain

 

手塚治の火の鳥のモデルになったといわれるのがケツァール鳥の羽根を使った王冠です。アステカではケツァール鳥は農耕神ケツァルコアトルの使いで最高位の聖職者と王だけがその羽毛を身につけることを許されたそうです。土台の金にしか興味が無かったスペイン人は羽根の部分を捨ててしまったんですけどね・・・。f:id:greenbirdchuro:20190531131857j:plain名前が度々あがるケツァール鳥はメキシコ南部からパナマの山岳地帯に生息している色鮮やかな鳥で、グアテマラでは国鳥として通貨単位にもなっています。どうやら簡単にはお目にかかれないみたいで日本のテレビ番組でもケツァール鳥を探す企画が組まれたことがありました。ちなみに現地の方に見せてもらったケツァール鳥の写真がコレ↓↓↓f:id:greenbirdchuro:20190601102015j:imageかわいい!スペシャルな鳥に選ばれたのが納得できるゴージャスな色使いです。

 

博物館で頭を使ったので?夕食をとるために選んだのはソナ・ロサ地区のシーフードレストランでした。早い時間にも関わらずカラフルな店内はもう賑わい始めています。f:id:greenbirdchuro:20190531220545j:plain

お通し的に出てきた揚げトルティーヤをつまみながらビールを頼みました。f:id:greenbirdchuro:20190531220549j:plain

本日のビールは日本でも見かけるライトビールのテカテとホップの香りが強いボエミアf:id:greenbirdchuro:20190601104530j:image

本場のチレで食べてみたかったのでシーフードレストランなら間違いないだろうということで前菜には生牡蠣を選びました。チレよりもやっぱりライムが好きみたいです。f:id:greenbirdchuro:20190531220551j:plain

そして一魚介をライムでマリネした前菜セビーチャはさっぱりしているのにしっかりした味付けでビールにぴったりでした。f:id:greenbirdchuro:20190531220555j:plain

贅沢に大きな海老をグリルした串焼きがメイン。プリプリの歯ごたえが美味でした。f:id:greenbirdchuro:20190531220558j:plain

 

あっという間でしたが、メキシコシティとはもうすぐお別れです。次は常夏のカンクンへ向かいます。

マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行 ――メキシコ・グアテマラ・ホンジュラス・ベリーズの旅

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古代マヤ・アステカ不可思議大全

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